Real Voice

01 上司×部下

まだ世の中にないものを、
かたちにしていく仕事。

製造現場のラインを、ゼロから形にしていく「生産技術(通称:生技)」の仕事。今回話を聞いたのは、上司・部下の関係にありながら、互いをリスペクトし合い、ときに“相方”のように仕事を進める中村さんと鈴木さんです。新しい生産ライン立ち上げのエピソードや、挑戦を後押しするチームの風土、そして未来への思いについて語っていただきました。

Profile

中村さんの写真
中村さん
生産技術
勤続17年
鈴木さんの写真
鈴木さん
生産技術
勤続11年

“生技”という仕事の本質と、現場との信頼関係

まずは、おふたりの業務について教えてください。

中村さん

生産技術部門に所属していて、新製品の製造工法や工程の検討、設備や治具の設計・導入などを担当しています。主には、新しい生産ラインの立ち上げや、量産に向けた工程設計といった業務が中心です。お客様の要求に応える品質を確保しつつ、安全や環境、そして効率にも配慮したラインづくりを目指して、日々取り組んでいます。

鈴木さん

以前は広瀬工場*にいて、異動で本社に配属になりました。広瀬工場は、元々は違う会社だった歴史もあり、本社とも規模が違うので、異動前は保全も含めわりと幅広い仕事を担当していたんですが、こちらでは生産技術の専門的な業務に携わるようになり、一歩踏み込んだ視点で物事を捉えられるようになったと感じています。

中村さん

鈴木くんはもともと現場に近いポジションでいろんな経験をしてきたから、今の本社の生技の中でも貴重な存在。設備にも強いし、他部署の保全メンバーとも同じ目線で話せる知見の持ち主で、問題が起きたときの対応も早いし、本当に頼りにしています。

鈴木さん

ありがとうございます。本社に来てからは新しい生産ラインの立ち上げに関わる機会にも恵まれ、生産技術という仕事の奥深さや、やりがいを改めて感じています。

*広瀬工場…日清紡ブレーキ株式会社よりファウンデーションブレーキ事業を譲受し、豊生ブレーキ工業株式会社の広瀬工場となった

おふたりの部署、「生産技術」の仕事について、詳しく教えてください。

中村さん

生産技術の仕事って、一言でいうと「紙の上の計画を、現実の形にする」仕事。誰がやっても同じ結果になる、なんてことはまずなくて。鈴木くんがやれば鈴木くんの個性や考え方が反映されたラインになるし、私がやれば私のラインになる。やる人によって、異なるラインができあがるんです。

鈴木さん

本当にそうですよね。すごく大変で責任のある仕事だけど、それを任せてもらえるのはやっぱりうれしいですし、「このラインは自分たちがつくったんだ」という実感があるのが、生技の醍醐味だと思います。

中村さん

実際の業務は、地道な試行錯誤の積み重ねだったりもするけど。でもそれを真剣に続けていくこと自体に価値があるし、誇れる仕事だと思っています。だから、しっかり取り組んでいる姿勢はちゃんと認めたいし、いいところはどんどん伸ばしていけるようなチームにしていきたい。

鈴木さん

生産技術って、毎日同じことの繰り返しじゃなくて。むしろ、毎日が「初めてのこと」の連続って感じですよね。

中村さん

そう。常に新しいことに挑む仕事だからこそ、「自分にできる範囲だけで…」って“守り”に入っちゃうと成長が止まってしまうと思っています。多少背伸びした目標を持って、思い切って“攻め”てほしい。挑戦していくためのサポートは、上司として、チームとして、しっかり固めていきたいと思っています。

鈴木さん

実際に、自分のスキルより少し上のレベルの仕事を与えてもらえるので、常にチャレンジ精神を持って取り組めていると感じています。中村さんはじめ、上司の方々でも僕に意見を求めてくださることも少なくないですし、自分の意見が採用されたときは「チームの一員として貢献できた」という実感も湧きます。もちろん失敗は怖いですが、それを恐れてばかりだと前に進めないですしね。

中村さん

失敗してもいいんですよ。そこから得られるものは必ずあると思います。「それ、ちょっと君には無理じゃない?」と、先回りをしてブレーキをかけるより、「どうしたらできるか?」を一緒に考えていきたい。そういう雰囲気や仕組みを整えていきたいと思っています。

まだ世の中にないものを、かたちにしていく仕事。

これまでのお仕事の中で、印象に残ったエピソードなどはありますか。

中村さん

新ラインの立ち上げです。それまでと大きく仕様を変えて、これまでにない自働化に、鈴木くんと一緒に挑みました。あのときは、その自働化の仕様そのものが、私にとっても初めての挑戦でした。

鈴木さん

みんな初めてのことで、正解がない中を手探りで進めていく感じでしたよね。トライ&エラーを繰り返しながら……。

中村さん

まだ世の中にないものを形にしていく。それをどう製品として成立させるかで、最終的にラインの姿も変わってくる。あの経験は、生産技術という仕事の本質をあらためて感じた瞬間でもありましたし、大きな達成感がありました。上司・部下っていうよりも、あのときは“相方”っていう感じだったと思います。一緒に悩んで、相談して、意見を出し合って……。

鈴木さん

僕にも意見を求めてくださるのが、すごく嬉しかったですし、それがモチベーションにもなりました。

中村さん

鈴木くんにはぜひ、MGU(モーターギアユニット)のスペシャリストを目指してほしいと思ってます。新ライン導入を通して、確実に力をつけてきたなと感じているので、今後も“今の自分より一歩先”のレベルに挑戦して、活躍の場を広げてほしい。そしてそれを、後輩にも伝えてほしいなと期待しています。

今後、挑戦していきたいことがあれば教えてください。

鈴木さん

技術力をもっと伸ばしていきたいというのはもちろんあるんですが、これからは「人を動かす力」も身につけていきたいと思っています。自分ひとりで完結するんじゃなくて、後輩や周囲を巻き込みながらチームとして動けるようになっていくことが、次のステップかなと。

中村さん

それ、すごく大事だと思います。私としては、「まずはやってみよう」っていう前向きな姿勢を、もっとチームに浸透させていきたい。失敗を恐れずに挑戦できる風土をつくりたいし、仕事の中にある“楽しさ”を忘れずにいてもらえるような、そんなチームをつくるのが私の目標です。

鈴木さん

中村さんからそういう雰囲気が出てるから、チーム全体がとても良い感じですし、チャレンジもしやすいんですよね。

中村さん

ありがとう。生産技術って、本当に面白い仕事だと思っていて。「やれって言われたからやる」じゃなくて、「なぜこれが必要なんだろう」「どうやったらもっと良くなるだろう」という視点を、小さくてもいいから持てるかどうかで、仕事の面白さも全然違ってくると思うんですよね。「この仕事が、世の中にどう役立つんだろう」という大きな視点を持つのは難しいかもしれないけど、心のどこかにそれがあると、取り組み方も変わってくると思う。私自身も、そういう意識を持ち続けていたいし、チームにもそういう空気を少しずつ広げていけたらなと思っています。